新着情報

勤務時間の適正化にむけて②

2017.03.30

連合総研は、2016年12月に『とりもどせ!教職員の「生活時間」~日本における教職員の
働き方・労働時間の実態に関する研究委員会報告書』(以下、『報告』)を発表しました。
※参考資料「緊急政策提言」~「教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査」結果から~

連合総研の『報告』を受けて、日教組は「教職員の過重労働や超過勤務を解消するための15の緊急提言」をまとめ、2月27日に記者会見をおこないました。

兵庫県では、全国に先駆けて「勤務時間の適正化」にとりくみ、学校や地域で差はあるものの、定時退勤日やノー部活デー、業務の削減がすすめられてきました。兵庫県教育委員会『教職員の勤務時間適正化新対策プラン』の重点的なとりくみのひとつであった「児童・生徒と向き合う時間の確保」は、わずかながら成果が出ています。
しかし、「超過勤務の縮減」は全くできておらず、増加している学校が多数あります。増え続ける教育内容に対応するため、削減分を上回る業務があり、超過勤務が常態化しています。
「勤務時間の適正化」を実現するため、国の教職員定数改善、支援スタッフの配置拡充、教育政策の見直しなど、抜本的な改善が不可欠です。連合総研の『報告』、日教組「緊急政策提言」をもとに、保護者・地域住民・働く仲間の皆さんとの社会的対話を広げ、教職員定数改善を地域の声として、もとめていきましょう。
子どもたちがいきいきと学ぶことのできる学校であるために、教職員が働きやすい職場、やりがいのある職場づくりにとりくみましょう。

※連合総研(連合総合生活開発研究所)
働く者のシンクタンクとして1987年12月1日発足。勤労者とその家族の生活の向上、経済の健全な発展と雇用の安定に大きく寄与することを目的に、内外の経済・社会・産業・労働問題など、幅広い調査・研究活動をすすめています。

 

『ひょうご2016 こどもの詩と絵 第37集』表彰式・発刊集会開催

2017.03.28

『ひょうご2016 こどもの詩と絵 第37集』の表彰式・発刊集会を、2017年3月5日(日)に開催しました。当日、県内各地より約850人の子どもたちや保護者の方に来ていただきました。ピアノやトランペットの演奏を聴いたり、みんなで歌ったりという、ミニコンサートをおこないました。その後、「詩」と「絵」それぞれ学年の代表者として表彰状を受け取る子どもたち、「詩」の朗読をする子どもたち、「絵」の説明をする子どもたちが舞台に上がり、晴れ晴れとした顔を見せてくれました。

 兵庫県教職員組合は、多くの教職員からの「協賛金」に支えられ、「就学援助事業」、「東日本大震災・熊本地震に伴う被災地からの転入児童・生徒への就学支援」等の教育文化・社会貢献事業をおこなっています。その一つとして、『ひょうご こどもの詩と絵』の表彰式・発刊集会はおこなわれています。1979年の国際児童年を機に創刊され、今回で通巻第37集になりました。

 今年度は、県内各地の教職員の協力により「詩」640点、「絵」2,010点の作品が集まりました。子どもたち自身がそれぞれの生活をみつめた作品、自然の美しさに感動して表現した作品、おとなが気付かないような発想の作品、心の葛藤を表現した作品等がありました。その作品一つひとつには、子どもたちの感性があふれています。それぞれ7人の選者の方々に、「絵」と「詩」の選考をお願いしました。多くの作品の中から、「詩」130点と「絵」245点が選ばれて、第37集に掲載されています。

 作品が掲載されている子どもたちには、『こどもの詩と絵 第37集』を贈呈しています。子どもたちの感性を大切にしたこのとりくみを、今後も続けていきたいと考えています。

2016年度 社会貢献事業 車椅子・福祉自動車・児童養護施設支援 寄贈式

2017.02.22

兵教組は、多くの方々からの「協賛金」に支えられ、子どもたちへの就学支援や教育文化・社会貢献事業をおこなっています。今年度も、(一財)兵庫県学校厚生会、(一財)兵庫県教育会館、(公財)日本教育公務員弘済会兵庫支部に共催いただき、2月19日(日)、ラッセホールにて「車椅子支援事業」「福祉自動車等支援事業」「児童養護施設等への支援事業」寄贈式をおこないました。

寄贈式では、車椅子1台、福祉自動車2台を寄贈しました。また、児童養護施設等への支援事業では2施設に支援をおこないました。

参加者交流では、分会代表、施設代表の方から、協賛金賛同者・共催団体への感謝の言葉や施設の状況の報告などがありました。

福祉自動車の寄贈を受けた施設代表は、これまで保護者に頼っていた利用者の施設への送迎を実施できること、送迎車の不足で入所を断っていた方も受け入れ可能になることなど、福祉自動車の活用方法について喜びの言葉とともに話されました。また、児童養護施設の代表からは、施設でくらす子どもたちの様子や課題をお聞かせいただくとともに、30を超える県内の施設に対する支援への要望も受けました。

この事業を通じて、県内の障害者施設、障害児教育、児童養護施設に携わっている人々との連帯・交流を深めることができました。

障害者差別解消法の趣旨を生かし、「ともに生き、ともに学ぶ」社会、「障害者の自立」をめざして、これらの支援事業が、みなさんの生活に少しでも役立てられることを願っています。
※寄贈式の様子は、組合員専用ページに動画を掲載しています。

今後も、この事業の趣旨およびこれまでの経緯を踏まえ、兵教組の教育文化・社会貢献事業の充実と発展をめざします。引き続き皆様のご協力をお願いいたします。

勤務時間の適正化にむけて…

2017.02.09

組合員専用ページ「勤務時間の適正化にむけて」において、動画「あなたの職場では、ルールが守られていますか?~ワーク・ライフバランスのとれた職場を作るために~」や、参考となる全国教研リポート等を公開しました。
※ID・パスワードは、各支部にお問い合わせください。

第40回母と女性教職員の会 兵庫県集会

2017.01.30

1月21日、「子どもたちに平和な未来を~誰もが安心してくらせる社会であるために~」をテーマに、「第40回母と女性教職員の会 兵庫県集会」をラッセホールにおいて開催し、県内各地域から保護者・退職教職員を含めた約200人が参加しました。

「母と女性教職員の会」の運動は、1954年に始まりました。「わが子、教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに、子どもたちの幸せをめざし、女性がいきいきと生きられるように、そして、憲法を守るために全国各地でとりくみを続けています。

全体会では、田口奈緒さん(性暴力被害者支援センターひょうご代表)から「学校における性犯罪被害対応~今そこにある危機」と題した講演を受けました。参加者からは、

  • 性暴力に対し、自分や自分の身の回りで今起きるかもしれないと認識してなかったことをはずかしく思った
  • 性被害に遭う年齢が思った以上に低く、男子もあっていることに驚いた
  • 性犯罪への対応が、小学生・中学生でもあり得ること、デートDVの例を聞いて改めて感じた
  • 知識を身につけておくことで犯罪を防げること、ケアにつなげていけることがわかった

などの感想がありました。

分科会では、3つのテーマで討議をおこないました。
「平和と国際連帯」分科会では、「夜間中学が問うもの ~戦後夜間中学の変遷と、私が出会った生徒たち~」について問題提起を受け、討議をおこないました。夜間中学校の歴史を知り、その必要性を考えるとともに、不登校や外国籍の子どもたちのための今後のとりくみを確認しました。

「子どもの人権を考える」分科会では、「じぶん まる! ~性って誰かに決められるもの?~」と題したセクシュアルマイノリティの子どもたちの居場所づくりについて問題提起があり、討議をおこないました。「性の多様性」について具体的に聞き、考えることで、おとなが多様な視点を持つことの大切さを確かめ合うことができました。

「性別にとらわれず自分らしく生きる」分科会では、「男性養護教諭として働いてみて」について問題提起を受けました。現場での悩みや苦労とともに、子どもたちが男性養護教諭を当たり前に受け止める様子を聞き、性別ではなく「個」の大切さについて考えることができました。

「母女」は、地域のことは地域で、全国的な問題は大きく連帯してとりくむことが運動の原点です。今後も、保護者・地域の方々と教職員がともに手を携え、誰もが安心してくらせる平和な社会であるための運動を続けていきたいと思います。

集会にご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

阪神・淡路大震災22年 児童・生徒、教職員- 追悼の夕べ -

2017.01.23

1月17日、震災で犠牲となった児童・生徒、教職員の方々のご冥福をお祈りするとともに、震災の教訓に学ぶ教育改革をめざす決意を新たにするために、今年も(一財)兵庫県学校厚生会に共催いただき、「追悼の夕べ 」を開催しました。ご遺族、県内教育関係者をはじめ、約250人の参加がありました。
※組合員専用ページ「動画」に様子をアップしました。

開会にあたり、神戸市立桂木小学校合唱団のみなさんが「追悼の歌」を会場に響かせました。参加者の中には「しあわせ運べるように」や「花は咲く」などの子どもたちの美しい歌声と心をこめて歌う姿に心を動かされ、涙を浮かべる方もありました。

黙祷の後、「1・17への思い」として、泉雄一郎執行委員長と、高井芳朗教育長が、震災で得た教訓を生かしていく決意等を述べました。

メモリアルコンサートでは、芦屋支部の森洋樹さんが小学校6年生で被災した経験、祖母や友達を亡くしたことを受け止めるまでの様子や周りの人々とのかかわり、今の思いを語られました。
(※ 語りの全文は下記に掲載)

最後に、KOBE CORY BAND金管5重奏のみなさんが、「星に願いを」や「ふるさと」など、金管アンサンブル演奏を披露しました。小学生で被災したメンバーは、音楽を通して子どもたちに震災を伝えていきたいと話し、やわらかい音色を響かせました。

震災から22年。震災を「忘れない」とりくみとともに、震災を経験していない若い世代へ「伝える」とりくみがもとめられています。「追悼の夕べ」にも、震災当時の小学生や震災後に生まれたみなさんが出演し、思いを語ることが増えてきました。

兵教組は、今後も、震災を伝えるとりくみとともに、子どもたちに「生きる力」を育む教育実践、各地で発生している自然災害などにより被災した教職員や子どもたちの支援に引き続き努力していきます。

 


 

【森さんの「語り」全文】


◆22年前の1月17日
22年前の1月17日も,今日と同じ火曜日でした。その時私は小学校6年生で,ちょうど卒業に向けての準備が始まろうとしている時期でした。火曜日には,毎週楽しみにしていたクラブがあり,最後のリーグ戦が予定されていました。クラブが大好きだった私は,授業の用意と,卓球のラケットをしっかりと用意して,次の日が来るのを楽しみにして眠りについたことを覚えています。
 
しかし,そんな当たり前のように来る次の日は,当たり前の日常ではありませんでした。
 強い揺れを感じて,すぐに目が覚めました。とっさに「地震だ!」と感じ,布団をかぶって身を守りました。地震の経験はありませんでしたが,北海道の奥尻島やアメリカのロサンゼルスで起こった地震のことは,家族や友人と話題にしていたため,心のどこかにそれが残っておりとっさに反応できたのだと思います。強い揺れの中,必死に布団をおさえていました。揺れがおさまり,気が付くと重いものがのしかかり,体を動かすことができませんでした。
 当時,私は6人家族で,2階の同じ部屋で寝ていた両親と,隣の部屋で寝ていた一番上の兄,そして1階では祖母と真ん中の兄が寝ていました。両親はすぐに「大丈夫か」と声をかけてくれました。しかし,すぐ真下から,次男の「助けてくれ」という声も聞こえてきました。とにかく外に出ようということで,私もなんとか体の上の重いものから抜け出しました。周りは電気も消え真っ暗だったので何も見えませんでしたが,立ち上がった瞬間,平衡感覚が失われ,頭がクラクラする感覚を覚えました。
2階の窓から,屋根を伝って外に出ようということになり,その移動中に,剥がれた屋根の瓦に足を乗せてしまい,屋根を転がり落ちてしまいました。「屋根から落ちる!」と思い身構えた瞬間,落ちたその先は地面でした。1階で寝ているはずの次男の声がすぐ下から聞こえてきたこと,立ち上がって頭がクラクラする感覚に加え,2階から落ちたはずなのにすぐに地面があること,全ての状況が呑み込めないまま,外に脱出することができました。これは明るくなって分かったことですが,家は1階部分が潰れ,南側に倒れている状況でした。私が寝ていた部屋は斜めに傾いており,伝って降りた屋根はそのまま地面についているような状況でした。
転がり落ちた時に,顔に擦り傷を負ってしまったため,私は2軒隣の無事だったお宅で手当てをしてもらい,夜が明けて少し状況が落ち着くまでの間,その家に避難させてもらっていました。9時前に再び家に戻って変わり果てた家を見た時,愕然としたのを覚えています。両親や長男は,近所の方々に助けてもらいながら生き埋めになっている祖母と次男を救出している最中でした。その後なんとか次男はがれきの中から救出されました。祖母はさらにその奥におり,次男を助け出したところから足は見えたそうですが,間に大きな梁があり簡単には助け出せず,祖母が助け出されたのは結局11時くらいでした。助け出した時には意識はなく,病院に着いた時にはもう息がなかったそうです。祖母の遺体は,近所の付き合いのあるお宅に安置させてもらいました。
結局その日の夜は,家族でその一部屋をお借りして,祖母を囲んで過ごしました。父は近所で家屋の下敷きになっている人の救出に回っており,帰ってきたのは深夜でした。テレビで報道されている亡くなった人の数がんどん増えていくのが怖かったことを覚えています。

その後は,潰れた家屋の中から使えそうなものを出したり,トイレの水を井戸から汲んだり,必要な救援物資をもらってきたりするのが私の仕事でした。まだ子どもながら,何か自分にもできないかという思いがあったのを覚えています。先生方も,電話が通じなかったため子どもの家を一軒一軒回って訪ねてきてくださいました。抱きしめてもらったときの温かさは今でも忘れることができません。
その時に,だったかどうかは定かではありませんが,学校が再開するまでの間に,同級生も2人亡くなったということを聞いていました。2人ともクラスは違いましたが,1人は3・4年で同じクラスで,廊下で会うとよく声をかけてくれていました。もう1人は家が近くで,一緒に話しながら帰ることもありました。2人とも潰れた家屋の下敷きになり亡くなった,と聞いています。そんな2人のことを知った時には,悲しい気持ちであったはずなのに,涙は流れませんでした。祖母をはじめ,同級生や近所の方,近しい人の「死」が一気に押し寄せてきて,自分の中で心の整理が追いつかなかったのだと思います。

◆学校再開
学校が再開したのは2週間ほど経った2月2日でした。通っていた精道小学校は,地震直後から多くの方が避難され,教室も体育館も避難所になっていたため,学年ごとに一つの特別教室に集まって授業を受けました。一時転出等で県外に避難していた友だちも多く,100人くらいいた6年生は,再開の日には半分の50人ほどでした。
運動場も体育館も使えず,休み時間には体を動かして遊ぶことができませんでしたが,たくさんのボランティアの方々が遠くから励ましに来てくださいました。覚えているのは,プールに大きな紙を用意してもらって,全身絵の具まみれになって思い切り自由に絵を描いたことです。給食も材料の確保も難しい中,早期に再開をしていただきました。最初は火を使わない簡易的なものでしたが,しばらくするとプロパンガスを使って温かい給食も提供していただきました。卒業までに,一時転出していた友だちも次第に戻ってきて,少しずつこれまで通りの日常が戻ってきたことがうれしかったです。
卒業式は,運動場に建ててもらった大きなテントでおこないました。卒業式の日には一時転出していた友だちも戻ってきて,亡くなった2人とともに全員で卒業式を迎えることができました。最後の花道には,在校生と一緒に避難されている方,ボランティアの方も加わり,温かく送り出していただきました。
私の家は,がれきを撤去し簡易的な住宅を建て,そこで中学校の3年間を過ごしました。中学校でもグランドの半分に仮設住宅が建っていました。部活動はテニス部に入りましたが,歩いて30分ほどのところにある市営テニスコートを使いました。そういった不便さにも次第に慣れ,少しずつ更地にも新しい家が建ち,ひび割れた道路は修復され,震災の爪痕は見えなくなっていきました。

◆震災を受け入れる
私が,震災ともう一度向きあったのは大学生の時です。地方の大学に通ったのですが,そこで「兵庫の芦屋出身」と伝えると,「震災は大丈夫やった?」と多くの人に尋ねられました。その質問に,私が体験した話をありのままに話すことができず,どこか被害を軽く偽って答えていました。「家は全壊やったけど,家族はみんな無事で…」とか,「うちの家は無事やったけど,近所の被害は大きくて…」とか,その場その場でとっさに違うことを言っていました。自分でもなぜそんな風に答えてしまうのか分からず,戸惑いました。今振り返ると,震災のことについて尋ねられるという経験はその時が初めてで,自分が体験したことを話すということはありませんでした。街は復興して,相応の年月が経っても,自分は全く震災を受け入れることができていなかったのだと思います。

私がようやく震災を受け入れることができたと思うのは,ちょうど10年経った2005年の1月17日のことです。その日,私は大学4年で,研究室で卒業論文を書くための研究を夜遅くまでしていました。夜中の1時くらいだったでしょうか,休憩がてらインターネットを覗いてみると,震災から10年ということで,例年よりも大きく写真特集が組まれていました。高速道路が倒れている様子や長田の火災などの写真を見ているうちに,自分でもなぜか分かりませんが涙が流れてきて,止まらなくなりました。私が震災のことで泣いたのは祖母が亡くなり遺体と対面したとき以来で,同級生や近所の方が亡くなったと聞いた時にも涙は流れませんでした。その10年越しの涙に,私自身戸惑いましたが涙は止まらず,しばらくの間流れ続けました。
そこが、私が震災を受け入れられた瞬間だと思っています。それから自分の体験を,ありのままに話せるようになりました。教員になってからも,毎年その時の子どもたちに話しています。話し始めた当初は,自分の体験を分かってほしい,という思いが強すぎたのだと思います。毎年,話しても今一つ子どもたちに伝わりきっていないような感覚でした。なぜだろう,もっと伝わりやすくするためにはどんな話をすればいいだろうと悩んでいましたが,ある日を境に,考え方が変わりました。
それが東日本大震災の日です。津波の映像や,燃える町の様子をテレビを通して見ていて,現実に今,起こっているとは捉えられないほどショックな出来事でした。その時から,子どもたちにとっての阪神・淡路大震災も同じことなのかもしれないと思うようになりました。それからは,もちろん過去にどんなことがあったのかを知ってほしいという思いはありますが,それに加えて,過去を知って,今後来る災害の時に,自分の命を守るための備えや方法を考えてほしいと思いながら体験談を話しています。また,東日本大震災の後から,私が自分の体験を話すことができるようになるまで10年かかった,という話もするようにしています。今後,今の子どもたちが大人になり,東日本大震災や熊本の震災で心に傷を負った子と出会った時に,この話を思い出してほしいと思っています。

◆復興支援ボランティアとして
昨年5月,熊本県の益城町に復興支援ボランティアに行く機会をいただきました。偶然にも小学校でボランティアをすることができ,次の日から学校を再開するために,教室に入られている方に体育館に移ってもらったり,教室の清掃などの手伝いをしたりしてきました。おそらく阪神・淡路大震災の時にも,たくさんのボランティアの方に同じようにしてもらったのだろうなあと思いながら,恩返しのつもりでボランティアをおこなってきました。少しだけその学校に通う5年生と話す機会がありました。「学校が始まって,友だちと会えるのは嬉しい」と,少しだけ笑顔で話してくれましたが,心の中では大きな傷を負っているのかもしれないとかつての自分と重ねてしまいました。
 阪神・淡路大震災も,2年前の20年を区切りに,記念行事や追悼行事が少なくなっている,というニュースを聞きます。でも,未だに阪神・淡路大震災を受け入れることができない方もまだまだいらっしゃると思います。区切りなんていうものではなく,これから先もずっと私はこの日に自分の体験を伝えたいと思っています。1.17で亡くなった方々のことを,語り続けていきたいと思っています。

2017年1月17日
森 洋樹

2017年 年頭のごあいさつ

2017.01.01

「兵教組結成70年を契機に、さらなる運動の前進を!」

2017年の年頭にあたり、兵教組本部執行部を代表し、ごあいさつを申し上げます。

兵教組は、本年、結成70年を迎えます。1947年7月10日、明石女子師範付属小学校講堂で、兵庫県教職員組合結成総会が開催されました。県内各地から、よれよれの国民服やモンペ姿で、食糧を入れたリュックサックを背負った代議員415人が参集し、議事では、「綱領」「規約」「役員」「予算」「労働協約締結」「機関誌」「日教組加盟」などを決定したと、当時の記録にあります。

私たちの先輩が築いてこられた運動の成果を語り継ぎ、教職員の協力・協働によるこころの通いあう学校づくり、給与水準の向上、諸権利の拡充、教育文化・社会貢献事業の推進、国際交流の深化をめざしてまいります。

また、本年は、兵庫教育文化研究所の設置40年にもあたり、蓄積された兵庫における教育実践の継承をはかりつつ、日本国憲法・子どもの権利条約の理念を生かす教育改革の実現をめざしてまいります。「いきる つながる みちひらく」をキーワードに、ひょうご教育フェスティバル等の研究成果をふまえて、保護者や地域の方との社会的対話をすすめていきましょう。

5月にはフィンランド教育文化交流団を受け入れ、8月にはフィンランド・OECDへ兵庫県の教職員を派遣する予定です。これまでの相互交流を通して学んだ「学力の国際標準」もふまえ、「生きてはたらく力」「人とつながる力」「学びつづける力」をはぐくむ教育研究活動をすすめ、子どもの最善の利益を追究してまいりましょう。

4月から県費負担教職員の給与負担や学級編制基準等の権限が神戸市へ移譲されます。これにともない、組織力・運動の低下を招かないように、神戸市教職員組合をはじめ、県内の地域単位教職員組合をもって組織する連合体として兵教組を改編していきます。皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

兵教組は、教職員の実践がゆたかなものとなるよう、「生きる力」をはぐくむ教育施策の充実、勤務時間の適正化、教育予算・教育条件の整備・拡充にむけ、引き続き「参加・提言・改革」の運動をすすめます。

運動の基盤は組織力であり財政力です。「組合活動の見える化」運動にとりくみ、新年度も新規採用教職員を中心に組織拡大・加入促進にとりくんでいきましょう。

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ひょうご教育フェスティバル(第66次兵庫県教育研究集会)開催

2016.11.21

11月12日(土)~13日(日)の2日間、新温泉町において「ひょうご教育フェスティバル(第66次兵庫県教育研究集会)」を延べ約4,400人(うち、保護者・地域の方・子ども等は約800人)の参加を得て開催しました。本集会は、「開かれた教研」として12年目となります。

全体会は、新温泉町立浜坂中学校吹奏楽部による美しく、楽しい演奏とともに始まりました。記念講演は、志水宏吉さん(大阪大学教授)をお招きし、「力のある学校づくり~格差の現状とその克服~」と題してお話いただきました。一人ひとりの子どもを大切にした学校づくりについて提起がありました。

分科会は、第1分野「子どもを中心にすえた 楽しい学校づくり」、第2分野「地域と手をたずさえて 子ども・保護者の願う教育改革」と特別分科会「生きる力を育む教育」の24分科会で構成し、分会から支部教研へと積み上げてきた教研活動の実践を交流しました。今次教研には、保護者・地域の方のリポート47本を含め、総計392本のリポートが提出されました。

記念事業の「子どもの育ちを考えるシンポジウム」は、(公財)こども教育支援財団との共催で、テーマを「子どもがゆたかに生きる 今、とりくめること ~学びの場の魅力づくり~」として開催しました。新たな不登校問題を起こさないためにも、学校で起こりうる問題を学校だけで抱え込むのではなく、確かなマネジメント力で子どもや家庭に寄り添い、子どもの育ちを豊かにするとりくみを続けていこうと提起され、参加者全員で学び合いました。

子ども体験・ステージ発表は、両日の昼休みの時間に開催しました。但馬地区の子どもたちにより、「金管バンド演奏」「キッズダンス」「子ども歌舞伎」が発表されました。展示・体験コーナーでは、地域の方々の協力を得て、「どろだんごづくり」「マユ人形作り」「まが玉づくり」「石のペンダントづくり」など特色あるコーナーを多数開設しました。また、「親子料理教室」「スタンプラリー」も実施し、多くの子ども・保護者の参加がありました。

私たちは今後も、創造的な教育研究活動の定着・発展と、保護者・県民の信頼に応える教育力量の向上をめざして、「いきる つながる みちひらく ~自立と連帯・共生の学びと教育~」をメインテーマに教育研究活動をすすめていきます。
地元新温泉町・香美町の関係者の方々、後援団体のみなさんをはじめ、多くの方々にご協力をいただいたことに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

第39回平和教育実践交流集会

2016.10.31

各学校においておこなわれている平和教育の実践に学び、とりくみを継承し、発展させていくために、第39回平和教育実践交流集会が芦屋支部で開催され、75人が参加しました。

オープニングでは、芦屋支部の有志のみなさんによる合唱組曲「ちいちゃんのかげおくり」の発表がありました。これは、芦屋支部の組合員によって作詞・作曲され、現在まで歌い継がれてきているものです。参加者・発表者とも感動し、涙を流す姿がみられました。

開会行事に引き続き、芦屋支部より「芦屋で作成した冊子を使ってのとりくみ」「修学旅行を通した平和学習のとりくみ(小・中)」の3本の実践報告がありました。討議においては、参加者から「外国というと子どもたちはどうしても欧米の方を考えてしまいがちだが、アジアの方への視点を考えていかなければならない」「広島・沖縄へ修学旅行を計画しているが、見学先の決定や事前指導をどのようにおこなっていったらよいのか」といった意見や質問が出されました。実践報告のまとめとして、平和教育部会の研究所員からは、「被害だけでなく加害の視点も大切にしたとりくみをしていかなければならない」「マスコミ等の情報にまどわされないメディアリテラシーを育てることも必要である」など、これから平和学習をすすめていくうえでの視点が示されました。

午後のパネルディスカッションでは、平和教育部会の研究所員から支部の平和部会がおこなっているとりくみや、フィールドワークについて紹介があり、その後、8つのグループに分かれて各支部のとりくみの交流をおこないました。地域によって修学旅行の行き先等にちがいがあることや、支部によって部会の有無があるなど課題があるなかで、それぞれのとりくみが交流され、熱心に討議されました。

参加者からは、「ちいちゃんのかげおくりの合唱に参加することを通して、平和教育について多くのことを学んだ」「子どもたちに平和の尊さを伝えるためには、まず自分自身が学び、強い思いをもつべきであると感じた」「地域性など様々な事情があるなかで、日々の生活の中でも、いかに子どもたちに考える場、きっかけ、機会を与え深めることができるかを大切にしたい」と感想が寄せられました。

今回の集会をひとつの契機として、「戦争をなくせば平和」という平和観にとどまらず、地球規模の問題ととらえて平和・人権・環境・共生にむけた教育をすすめる必要があります。またその実現のために「ゆたかな学び」を追求していかなければなりません。

県内各支部・分会で、それぞれの地域・子どもの実態に応じて、戦争体験の継承、地域素材の掘り起こしとその教材化を推進し、兵庫における平和教育をいっそう深化・発展させていきましょう。

2016カムバックセミナー

2016.10.11

8~10月にかけて、職場復帰を控える育児休業中の組合員を対象とした「カムバックセミナー」(主催:教職員共済・共催:兵教組)を神戸・姫路・但馬の3会場と神戸支部・三美支部で開催し、合計95人が参加しました。

育児を支援する制度や学校現場の最新情報、子どもの成長などライフステージの変化に対応した生活設計等の情報の提供とともに、子育て経験者の先輩組合員からのメッセージを届けました。保育所の準備や仕事との両立の工夫、育児短時間勤務制度利用者や離職再採用制度利用者の声などをまとめた「アドバイスブック」も配付しました。
参加者の声は下記の通りです。

講座Ⅰ「育児と仕事の両立支援制度・権利獲得のあゆみ」

  • 知らなかった制度や実際に取得する具体的な話を聞けてよかった
  • 先輩からの生の声を聞けてよかった、励まされた
  • 来年からがんばって働こうと前向きに考えられるようになった
  • 昔の育児支援関連の冷遇には驚かされた
  • 先輩方のおかげでたくさんの制度があることがわかった

講座Ⅱ「子育て世代の貯蓄と保障」

  • 子どもの大学進学資金にとてもお金がかかることがわかった
  • 遺族年金のしくみなどを聞くことができてよかった
  • とてもわかりやすい説明だった
  • 教職員共済が相談にのってくれることを知り、今すぐ「保障の見直し」を利用したいと思った

講座Ⅲ「学校の最新情報」「参加者交流会」

  • 現場を離れていると不安になるが、現状を聞けてよかった
  • 勤務校の資料をたくさんいただいてうれしかった
  • 同じ悩みを持った先生と話ができてよかった
  • たくさん話せてリフレッシュできた

また、昨年度の対県確定交渉において、カムバックセミナー参加者の声をもとに「妊娠教員の負担軽減のための補助教員配置拡充」をもとめ、今年度4月より小学校の学級担任は現行分に加え、運動会前1か月にも拡充されました。「次の世代のために」と、産休代替や育休をはじめとした権利獲得のためにたたかってきた先輩方の思いが今もつながっています。
4年目の開催となり、のべ参加者数は300人を超えました。参加者の中には、2、3度目のリピーターもおられ、教職員共済・兵教組としても嬉しく思っています。参加希望者のニーズに応えながら、今後も権利拡大とともに、セミナーを開催していきます。

「追悼の夕べ」出演者募集のお知らせ

2016.10.06

兵教組では、阪神・淡路大震災で犠牲となった児童・生徒、教職員の方々のご冥福を祈るとともに、震災の教訓に学ぶ教育を創造していく決意を新たにし、遺族の方々と共に生きることの尊さを感じ合うため、毎年1月17日に「追悼の夕べ」を開催しています。
来年(2017年)1月17日(火)17:30より開催する「阪神・淡路大震災 児童・生徒、教職員追悼の夕べ」の出演者を募集します。

阪神・淡路大震災、東日本大震災支援をはじめ、県内で音楽ボランティア経験のある方や団体など、音楽活動をされている方で出演希望の方は兵教組各支部(または本部生活部)までご連絡ください。

●出演内容   楽器演奏・歌唱・合唱など15分程度    
●募集数    2団体
●出演資格   兵教組組合員  
※組合員(元組合員の退職者含む)が含まれていれば、一般団体も可
●応募締切   2016年10月末
*「追悼の夕べ」についてのお問い合わせは…
兵教組各支部または兵教組生活部(050-3538-2346)まで

写真は、2015年「追悼の夕べ」より

第43回教育課程編成講座

2016.08.29

「わかる授業・たのしい学校」の実現をめざした、教育課程の編成と創造的な教育研究活動を組織的にすすめるために、第43回教育課程編成講座が開催され、2日間で677人が参加しました。
 
 前期の講演会では、佃 繁さん(梅花女子大学・教育課程部会協力研究所員)が「『アクティブ・ラーニング』と集団づくり」と題して講演をおこないました。 佃さんのお話から、国の教育政策の方向性について整理していただくとともに、「アクティブ・ラーニング」をどのようにすすめていくべきか、今後私たちが教育の現場で「学級づくり」「仲間づくり」にどのようにとりくんでいくべきか、わかりやすくお話いただきました。
 
 参加者からは、「アクティブ・ラーニングの根底にあるもの、今現場にもとめられているものが理論的に分析されており、わかりやすかった」「学習指導要領や全国学力・学習状況調査の結果分析など、見過ごされがちな面からの話でたいへん説得力があった」「子どもどうし、生徒と先生との信頼関係がなければアクティブ・ラーニングは難しいと思った。安心して自分の思いを発言できるそんな仲間づくりをめざしたい」などの感想がありました。
 
 後期の講演会では、村上登司文さん(京都教育大学・平和教育部会協力研究所員)が「戦後71年目からの平和教育-兵庫県平和教育実態調査をもとに-」と題して講演をおこないました。村上さんからは、10年ぶりに実施した平和教育実態調査をもとに、戦争体験継承の問題点をあきらかにしていただくとともに、学校現場の実情をふまえこれからの平和教育をどのようにすすめていくべきか、わかりやすくお話いただきました。
 
 参加者からは、「調査結果をもとにした内容だったのでよく理解できた」「修学旅行で広島に行っている。意識して継続するよう声を上げるとともに、若い先生方に平和教育の重要性を伝えていきたい」「平和教育の火を消さないようにとりくみを広げていきたい」などの感想がありました。
 
 午後からは、前期が教科系の10分科会、後期が課題別の9分科会にわかれて、分科会が開催されました。協力研究所員や研究所員が中心に、全国教研の還流や、授業で役立つワークショップなどの講座、実技などが企画され、参加者は積極的に活動に参加し、熱心な討議や支部間交流をおこないました。
 
 今後、「ゆたかな学び」を具現化するための教育課程の創造的編成にとりくむとともに、体験を通して、ゆたかな人間性や社会性をはぐくみ、「生きる力」を身につける等、子どもが主体となる創意工夫をこらした教育実践の推進をはかっていく必要があります。編成講座での学びを生かした実践をすすめ、今秋の第66次兵庫県教育研究集会においてさらに討議を深めます。

ゆたかな教育の創造をめざす兵庫県民会議(教育創造県民会議)

2016.08.09

7月23日、ラッセホールで「ゆたかな教育の創造をめざす兵庫県民会議」(略称・教育創造県民会議)第27回総会が開かれ、133人の参加がありました。

総会では、経過報告や16年度活動方針、15年度決算、16年度予算、役員の選出について協議し、承認されました。その後、京都精華大学教授の住友剛さんより「家族を頼れない子どもたちの自立~子どもの権利条約の視点で考える~」をテーマに講演がありました。

辻芳治代表委員のあいさつの後、子ども子育て支援新制度の問題や奨学金制度の拡充、教職員定数改善のための国や県、各市町のとりくみなどが協議されました。

講演では、家族を頼れない子どもたちのおかれている現状や地域社会の大人として何ができるのかを分かりやすく説明していただきました。「子どもの貧困」問題から、今目の前にある子どもたちや若者の厳しい現実を知ることができました。また、「子どもの権利条約」の視点から、子どもや若者たちが「自らを守るもの」として、人権や基本的自由などの諸価値の大切さや人権を守るための諸制度についてどこまで学べているのかという問題提起もありました。それぞれの立場の大人が何ができるのかをあらためて考えるよい機会となりました。「できるひとが、できることを、できるかたちで」とりくんでいく重要性と、なにがあっても「あきらめない、負けない」強い意志が必要だと再確認することができました。

参加者からは「すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障していかなければならない」という意見が出されました。
秋には「兵庫の教育をよくする県民署名」のとりくみをおこないますので、みなさんの積極的なご協力をよろしくお願いいたします。

*「教育創造県民会議」は、地域・家庭・学校が一体となって相互に連携し、「21世紀のゆたかな教育の創造」にむけ、地域の保護者・労働者・教職員・県民が連帯を深めながら、家庭や地域の教育力の活性化と子どもたちの人間的な成長をめざしてとりくんでいます。

また、学校教育と地域・保護者との連携のあり方、教育予算拡充による教育条件整備、保護者の教育費負担軽減、教育制度のあり方、外国人労働者の増加などによる教育の国際化、子どもの人権問題などについて、地域の方々と教育関係者の対話の充実とさらなる協力関係づくりをめざして活動をしています。

2015年度 社会貢献事業 車椅子・福祉自動車・児童養護施設支援 寄贈式

2016.03.01

多くの方々からの「協賛金」に支えられ、2月21日(日)、ラッセホールにて社会貢献事業車椅子・福祉自動車・児童養護施設支援 寄贈式をおこないました。

兵教組は、多くの方々からの「協賛金」に支えられ、子どもたちへの就学支援や教育文化・社会貢献事業をおこなっています。今年度も(一財)兵庫県学校厚生会、(一財)兵庫県教育会館、(公財)日本教育公務員弘済会兵庫支部に共催いただき、「福祉自動車等支援事業」「車椅子支援事業」「児童養護施設等への支援事業」をすすめてきました。

寄贈式では、車椅子4台、福祉自動車2台を寄贈しました。また、児童養護施設等への支援事業では3施設に支援をおこないました。

参加者交流では、児童代表、施設代表の方から、協賛金賛同者・共催団体への感謝の言葉や施設の状況の報告などがありました。この事業を通じて、県内の障害者施設、障害児教育に携わっている人々、児童養護施設との連帯・交流を深めることができました。

障害者差別解消法の趣旨を生かし、「ともに生き、ともに学ぶ」社会、「障害者の自立」をめざして、これらの支援事業が、みなさんの生活に少しでも役立てられることを願っています。
※寄贈式の様子は、組合員専用ページに動画を掲載しています。

今後も、この事業の趣旨およびこれまでの経緯を踏まえ、兵教組の教育文化・社会貢献事業の充実と発展をめざします。引き続き皆様のご協力をお願いいたします。

第39回母と女性教職員の会 兵庫県集会

2016.01.29

1月23日(土)、「子どもたちに平和な未来を~ともにつくろういのちが大切にされる社会を~」をテーマに、「第39回母と女性教職員の会 兵庫県集会」をラッセホールにおいて開催し、県内各地域から保護者・退職教職員を含めた約200人が参加しました。

「母と女性教職員の会」の運動は、1954年に始まりました。「わが子、教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに、子どもたちの幸せをめざし、女性がいきいきと生きられるように、そして、憲法を守るために全国各地でとりくみを続けています。

全体会では、「すべての子どもに居場所のある学校」をめざしてとりくんだ大阪市立大空小学校のドキュメンタリー映画「みんなの学校」を鑑賞、午後には、木村泰子さん(大空小学校初代校長)から「みんなの学校が教えてくれたこと」と題した講演を受けました。参加者からは

  • 映画と講演で「どんな子どもも排除しない」という理念を実施している学校が存在していることに驚き、同時に心強く思った
  • 対等な大人の関係がなければ、子どもたちに対等な関係はできないという言葉が心に残った
  • インクルーシブ教育はどうあるべきか改めて考えた
  • 中学校現場ではインクルーシブ教育は夢のまた夢と思っていたが、そうではないかもしれないと思うことができた

などの感想がありました。

分科会では、3つのテーマで討議をおこないました。

「平和と国際連帯」分科会では、県立明石城西高校新聞部のとりくみについて問題提起を受け質疑等をおこないました。戦争経験者の聞き取りやブラックバイトの現状など、高校生が書く充実した内容に驚くとともに、子どもたちが知ること、発信することの大切さを確認しました。

「子どもの人権を考える」分科会では、インクルーシブ教育のとりくみについて問題提起があり、討議をおこないました。法律や文部科学省通知について知るとともに、合理的配慮やインクルーシブ教育について具体的に考えることができました。

「性別にとらわれず自分らしく生きる」分科会では、NPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会の方から、性同一性障害の子どもの親として問題提起を受けました。性の多様性について改めて気づくとともに、学校で男女に分けられることのつらさなども聞き、正しい知識をもつことの大切さを考えることができました。

参加者からは「久しぶりに『母女の会』に参加し、とても元気をもらった」「教職員だけでなく、保護者も参加されているのが素晴らしいとおもった」「もっと多くの人に参加してほしい」などの意見がありました。

今後も、保護者・教職員などそれぞれの立場で、いのちが大切にされる平和な未来をつないでいくため、運動を続けていきたいと思います。
集会にご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

阪神・淡路大震災21年 児童・生徒、教職員 - 追悼の夕べ -

2016.01.26

1月17日、震災で犠牲となった児童・生徒、教職員の方々のご冥福をお祈りするとともに、震災の教訓に学ぶ教育改革をめざす決意を新たにするために、今年も(一財)兵庫県学校厚生会に共催いただき、「追悼の夕べ 」を開催しました。ご遺族、県内教育関係者をはじめ、約270人の参加がありました。

「阪神・淡路大震災の教訓の継承」をテーマにした、杉尾須美子さん(ひょうご防災特別推進員)の講話では、「雨の日こそ防災訓練に参加して日常と違った環境を体験することが大事、自分の命は自分で守る。助けられる人が、助ける人になれるように自分で体験・訓練をしていただきたい」と訴えられました。

黙祷の後、「追悼の歌」として、神戸市立桂木小学校合唱団のみなさんが、「しあわせ運べるように」など、美しい歌声を響かせました。
「1.17への思い」では、泉雄一郎執行委員長と、高井芳朗教育長が、震災で得た教訓を生かしていく決意等を述べました。

メモリアルコンサートでは、西宮市立図書館ボランティアが、参加者に少しでも笑顔を届けたいとの思いをこめ、絵本「じごくのそうべえ」の音楽朗読劇を披露しました。
※組合員専用ページに当日の様子を動画で掲載しています。

震災から21年。震災を「忘れない」とりくみとともに、震災を経験していない若い世代へ「伝える」とりくみがもとめられています。兵教組は、今後も、子どもたちに「生きる力」を育む教育実践の深化・発展、各地で発生している自然災害などにより被災した教職員や子どもたちの支援に引き続き努力していきます。

 


 

1.17への思い(抜粋)

泉雄一郎執行委員長

阪神・淡路大震災で犠牲になられたみなさんのご冥福を心からお祈りするとともに、ご遺族の皆様に、改めて心からのお見舞いを申し上げます。阪神・淡路大震災20年の節目の年であった、この1年間のとりくみをご報告し、御霊にささげます。

1月には、アメリカ合衆国・連邦緊急事態管理庁(FEMA)関係者を招き、「心のケアの普遍化をはかるために」をテーマとした「国際シンポジウム」を開催した。教職員が子どもたちにストレスマネジメントの授業をおこなうことが、教職員自身のセルフケアにもつながることや、心に傷を受けた子どものケアのあり方等が確認されました。

4月には兵庫教育文化研究所の所報『こどもと教育』臨時増刊号として、特集「阪神・淡路大震災二〇年 防災教育アーカイブ」を発刊しました。FEMAとの国際シンポジウムや、阪神・淡路大震災と東日本大震災をつなぐシンポジウムの記録、優れた防災教育の実践等が収録されています。これらの記録を未来に伝達できればと思っています。

東日本大震災から5年を迎えようとしていますが、その復興は道半ばです。兵教組は「福島県震災遺児奨学金」への支援カンパや、被災地から兵庫県に転入している子どもたちに図書カードを贈るとりくみも継続しています。

阪神・淡路大震災の教訓を日々の教育実践に生かすとりくみについては、11月に開催した兵庫県教育研究集会の「生きる力を育む教育」分科会で、実践報告と討議がおこなわれました。

放射能学習に関する弱さを実感させられる報告や、20年前に神戸から避難してきた子どもを受け入れた経験を生かし、20年前と今をつなげた防災教育の報告もありました。そして、教職員が語り継ぐための場づくりが、阪神・淡路大震災を風化させないためにも重要であることが確認されました。

兵教組は、子どもたちに「生きる力」をはぐくむ教育実践の深化・発展、教職員や子どもたちの支援に、引き続き努力することをお誓い申し上げます。

2016年 年頭のごあいさつ

2016.01.04

「すべての子どもにゆたかな学びを!」

年頭にあたり、兵教組本部執行部を代表し、ごあいさつを申し上げます。

昨年のひょうご教育フェスティバル(第65次県教研集会)は、開催地の赤相支部や中西播地区の周到な準備と協力体制により、延べ4,600人(内子ども・保護者・地域の方800人)の参加を得ました。リポート報告は教職員347本、保護者・地域の方が過去最高の54本となりました。これらは、支部段階からの地域に開かれた教育研究集会の積み重ねの成果であり、支部・分会の日常的なとりくみに心からの感謝を申し上げます。

分科会参加者からは、「“学び方を学ばせる”という視点が勉強になった」「性同一性障害の当事者からのリポートがあり、学校がとりくむべき課題があきらかになった」「地域ボランティアやPTAの方などが参加されているのは、学校と地域が連携して子どもたちを育てていく上で有意義だと思った」「防災教育は災害について知る、備えるすべを知るだけにとどまらず“心の教育”という部分も大切だと感じた」などの感想が寄せられました。

社会情勢や子どもをとりまく環境が厳しさを増す中、学校、家庭、地域社会、教育関係機関の連携や社会的対話がよりいっそう重要度を増しています。だからこそ「地域に開かれた教育研究集会」「地域にひらかれた学校」に意義があると考えています。

県教研で交流・討議された実践を2月に開催される教育研究全国集会で発信するとともに、その学びや成果を支部・分会へ還流し、子どもに寄り添う教育実践を推進していく必要があります。

今年7月には参議院議員選挙がおこなわれます。兵教組は兵庫県選挙区・みずおか俊一さん、比例代表・なたにや正義さんを推薦決定し、法令遵守のもと後援会活動をすすめています。

「子どもの権利条約」の理念を実現していくには、「子どもの最善の利益」につながる教育・福祉政策や教育予算の拡充などが必要です。同時に、平和憲法の根幹である「個人の尊厳」に立脚した民主主義社会の実現をめざしていかなければなりません。

そのためにも学校現場の実情をよく知る教育界出身の議員が国政の場に必要です。こうした意義を再確認し、みずおか俊一さん、なたにや正義さんの三選にむけとりくんでいきましょう。

兵教組は、教職員の実践がゆたかなものとなるよう、勤務時間の適正化、教育条件の整備・拡充、給与水準の向上、こころの通いあう学校づくりにむけ、引き続き「参加・提言・改革」の運動をすすめます。

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。